玩具菓子は、お菓子に付属する小さなおもちゃやシールで知られています。かつては主に子どもたち向けの商品だったこのカテゴリーですが、近年では「推し活」という現象と共に、大人たちをも惹きつける存在へと進化を遂げています。特にコンビニエンスストアや専門店での売り場が拡大し続けていることから、その人気は高まっています(木村優里)。
9月上旬、東京都品川区にある「ローソンゲートシティ大崎アトリウム店」では、レジ近くの棚に20種類以上もの玩具菓子が並び、スーツ姿の男性客が商品を選んでいる光景が見られました。これらの商品は100~400円台と幅広く、キャラクターシール付きウエハースやフィギュア入りチョコ菓子、チャーム付きキャンディーなど様々です。
ローソンの報告によると、2025年度の全店での玩具菓子売上は、2019年度比で375%に達しました。コロナ禍前では菓子売り場の一角に数種類が置かれていた程度だったこれらの商品ですが、その人気により販売スペースも徐々に拡大しています。現在は各店舗での玩具菓子の販売スペース目安を約3倍に増やしたとローソンは述べています。
7歳の女児は「どのフィギュアが出るか楽しみ。チョコレートも美味しい」と話します。また、その母親(39歳)も「私も好きなアイドルの商品を見つけると、つい買ってしまう」と笑顔で語りました。
玩具菓子が半世紀以上にわたって愛され続けている中、ペンダントとチョコレートのセット商品「セボンスター」は2025年度に過去最高の売上を記録しました。製造元であるカバヤ食品(岡山)によれば、ペンダントの基本デザインや開封するまで何が入っているか分からない仕掛けは1979年の発売当初から変わらず。現在では約90種類ものペンダントが存在し、宝石や真珠をイメージしたキラキラとしたデザインが多くの女児たちの心をつかんでいます。
数年前に起こった平成ブームにより、平成時代に小中学生だった20~30歳代の女性が再注目。SNS上での魅力発信が他世代へも広まり、2025年度の売上金額は前年比で倍増しました。カバヤ食品の広報部長、山口愛一郎さんは「親子3世代が一緒に楽しむ人たちも増えている」と話しています。
玩具菓子市場が拡大した背景の一つとして新型コロナウイルス禍が挙げられます。全日本菓子協会によると、2020年に玩具菓子の市場は大幅に伸長し、その後も好調を維持しています。著書「日本懐かしお菓子大全」のある松林千宏さん(菓子市場研究者)は、「自宅で過ごす時間が増えたことで、気軽に楽しめる玩具菓子が再評価された」と指摘します。
「推し活」の対象としても注目を集めています。おもちゃメーカーのバンダイ(東京)は、ハローキティやちいかわなどのキャラクター商品を年間約340点企画し、玩具菓子用に提供しています。2022年にオープンした「BANDAI CANDY OFFICIAL SHOP」は現在39店舗まで拡大。子どもだけではなく、20~30歳代や訪日外国人客にも人気です。
松林さんは、「おまけとは思えない精巧さが大人を魅了し、中身が分からない『ブラインド形式』の販売方法がワクワク感を増幅している」と評価します。
購入層が広がるにつれて、菓子自体も改良が進み、ラムネやガム、チョコレートのほか、ビスケットやグミなど多様化しています。玩具菓子の元祖とも言えるキャラメルにおもちゃを付けて販売する江崎グリコ(大阪)は、10年前より徐々にキャラメルの数を増やし、現在では1つ8粒となっています。
松林さんは、「食べて遊んでからSNSや友人たちと楽しみを共有したり、コレクションにすることができるのも魅力。子どもだけではなく、全員を対象に進化している」と述べています。
玩具菓子は誕生日や特別なイベントに合わせて訪れるおもちゃ店の他、スーパーやコンビニで手軽に購入できることから、つい買ってしまう人が多いようです。1922年に創業した江崎グリコは「栄養菓子グリコ」を発売しました。このキャラメルの中に入っていた絵カードは、創業者の江崎利一さん(故人)が「食べることと遊ぶことは子どもの二大天職」と考え、27年からは豆玩具を封入しました。戦後初期には実用品、高度経済成長期には家電のミニチュアが登場しました。
おもちゃコレクターで「『おまけ』の博物誌」の著者である北原照久さん(78歳)によれば、昭和30年代にテレビが普及し始めた頃から菓子メーカーは次々とおまけを考案していました。「競争激化の中で話題性を得るために、おまけが不可欠になった」と北原さんは分析します。テレビアニメ「鉄腕アトム」や「仮面ライダー」のカード、ビックリマンシールも社会現象となりました。
北原さんは、「玩具菓子のおまけには時代の流行が映し出されており、日本文化として定着している」と結論づけます。
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