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過去10年で最多ペースの死球数、安全と勝負の両立を議論すべき時期に

過去10年で最多ペースの死球数、安全と勝負の両立を議論すべき時期に

2023年シーズンはプロ野球界で死球が注目される一季となった。12球団の累計死球数は、過去10年間で最多だった2022年(638個)に迫るペースを示している。特に阪神の藤川球児監督が日本野球機構(NPB)に対し、肩甲骨や手首を保護するプロテクター導入を提案したことで話題を集めた。この提案は打者の安全性向上を目指すものだ。

死球数増加には複数の要因が影響している。第一に、投手の平均球速の増加が挙げられる。現在の野球界ではスピード重視の傾向が強まっており、荒木大輔氏(プロ野球解説者)によると、「どうやって球速を上げるか」ということが指導者も選手も最も関心を寄せるテーマである。しかし、高速のボールをコントロールすることは容易ではなく、制球力を損なうリスクも伴うため、打者が反応しきれないほどに球速が上昇している可能性がある。

また、打者の防具の進化も要因の一つである。現在のバットガードやグラブは高機能であり、衝撃を吸収する能力に優れている。荒木氏が語るところでは、「過去には死球を受けると動けなくなる選手も珍しくなかったが、今では多くの選手が少し立て直して一塁へ向かえる」という。こうした防具の進化は打者に対する内角投球を恐れさせず、積極的なプレーを促す要因ともなっている。

一方で、投手から見た場合、この状況は複雑だ。特に強打者に対して効果的に抑える方法の一つが内角を攻めることである。荒木氏自身も「死球を多く与えた投手ではなかったが、必要な時は攻めていた」と述べており、過去に西武との1993年日本シリーズでヤクルトの先発として登板し、初回に辻発彦氏と石毛宏典氏に死球を与えた経験がある。この時も緊張や動揺はなく、「ライン際に立っているのだから当然」という認識だったと振り返る。

しかし、故意に打者を傷つけることは避けるべきであり、投手も人間である以上、完璧なコントロールが常に可能というわけではない。死球を怖れて内角を攻められなくなった場合、プロの世界で戦う意味は失われるとも警鐘を鳴らす。

一方で、藤川監督の提案については「選手を守る立場から理解できる部分がある」と荒木氏。真剣勝負を維持しながらどうやって選手の安全も確保するかという問題は、今後議論すべき重要な課題である。このように、死球数の増加に伴う様々な観点から、プロ野球界は新たな方向性を模索し始めている。

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