ウクライナ東部ハルキウに生まれた10歳の少年、ラリオン・シロトキンが、囲碁プロとしての夢を追い求めて初来日した。彼は芝野虎丸棋聖や一力遼名人などを輩出した「洪道場」で3カ月間、住み込みトレーニングに励む予定だ。「将来はプロ囲碁棋士になりたい」と力強く語るラリオン少年。彼の夢は日本で新しいステージを迎えようとしている。
ラリオン少年は、3人兄弟の次男として育った。しかし、2022年にロシアがウクライナへ侵攻したことで状況は急変し、彼の家族はヨーロッパを転々とした後、アイルランドに避難生活を始めた。母親のダリナさん(36歳)は「戦争が早く終わることを願いながら友人宅を転々としていました」と当時の心境を振り返った。
幼少期からチェスに親しんでいたラリオンは、7歳の時に囲碁が題材のアニメ「ヒカルの碁」に出会い、その魅力にとりつかれる。英語で読める囲碁書籍が少ない中、彼は芝野棋聖の著作を通じて学び、アイルランドで開催された大会にも参加し、オンライン対局を重ねることで技術を磨き上げてきた。特に尊敬する棋士は芝野棋聖だ。
23日、ダリナさんと共に東京都杉並区にある洪道場を訪れたラリオン少年は、現役の棋士を相手にハンデ戦で勝利。その後、同道場内で行われた交流対局でも活躍した。洪清泉四段(44歳)が総師範を務めるこの道場での生活は、彼にとって新しい挑戦となる。
オンライン指導を行ってきた清成哲也九段(64歳)は、「すでにプロ院生中位の実力がある」と評価。また、囲碁インフルエンサーとして活動する福島あきらさん(26歳)も、昨年11月に欧州大会でラリオン少年を破った経験がある。「読みの力と戦闘力が強く、この年齢でここまで進化したことに驚いた」と彼女は語り、その後ラリオン少年のプロ入りを支援する形で日本来日を後押ししてきた。
「囲碁の局面バリエーションが多くて楽しい」と話すラリオン少年は、「ヨーロッパでは対局相手が少なかったので、洪道場でたくさん対局できることを楽しみにしている。日本滞在中に可能な限り上達したい」と意気込む。ビザの関係から3カ月間の滞在となるが、彼は今後長期滞在も視野に入れている。洪四段は、「中国や韓国出身者が日本プロ囲碁界で活躍することは珍しくないが、ヨーロッパからの挑戦者はまだ少ない。しかし、地道に普及活動を続けてきた成果が表れ始めている」と述べた。
ラリオン少年の日本滞在費支援を呼びかけている福島さん。詳細や寄付は彼の公式ホームページ「アキラの碁」(https://akiras-go.com/)で確認することができる。
このように、若干10歳の少年が国際的な壁を乗り越え囲碁の世界へ挑む様は、多くの人々に希望と勇気を与えるものである。彼の旅路がどこまで続いていくか、今後の動向から目が離せない。
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