将棋界のトップ選手、藤井聡太竜王と服部慎一郎七段が対戦する第39期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛:野村ホールディングス)の第2局は、10月22日と23日に静岡県三島市の三嶋大社で開催される。この対局を前に、同地域では地元のグルメ文化を竜王たちへ紹介する「勝負めし」コンテストが行われ、その結果が発表された。
三島市は、対局者に提供される食事メニューを選定するため、地元の多彩な料理店からエントリーを募り、総計69品が応募された。その中から18品が選ばれ、対局者向けのメニューブックに掲載されることになった。この選考によって名を連ねた店舗は、「三島の魅力を全国に広める」という強い意気込みを持ち、喜びを表した。
特に注目されているのが、うなぎ屋「うなぎ桜家」で提供される「うなぎ重箱」だ。創業1856年(安政3年)、米国初代総領事タウンゼント・ハリスの来日に伴って開店した同店は、富士山から流れる伏流水を用いてうなぎ料理を提供しており、行列が絶えない人気店である。社長の鈴木潮さん(65)は、「富士山の伏流水を使ってうなぎ屋を営ませてもらっています。三島に貢献できれば」と、コンテストへの参加理由を述べた。
料理は富士山の伏流水を使い、特有の臭みを取り除く工程から始まる。身を引き締めるために長い金串で打ち込み、備長炭で白焼きにした後、銅製せいろで蒸し上げ、家伝のタレで仕上げられる。この精巧な調理方法が、対局者たちにも提供される予定だ。
また、「パステリア地中海」では、イタリア料理「勝つ(鰹)おだしのカルボナーラ」がメニューに掲載。コロナ禍前に市内の出汁専門店と共同で開発された自信作で、期間限定で提供されることが多かった。社長の小河鉄平さん(50)は、「飲食業界は現在、物価高や人件費上昇により厳しい状況です。竜王戦が開催されることで三島が注目を浴び、街全体の盛り上がりにつながれば」と期待を寄せた。
市内のイトーヨーカドー三島店にある「おはこや」もまた、メニュー掲載店として選出された。同店では、「静岡産黒毛和牛A5ランク20番(頂上)ステーキ丼 三嶋ぎょうざのセット」を提供する予定で、これは中間集計でトップに選ばれたものだ。地元産ニンジンが入った「三島ぎょうざ」は、同店を経営する「十八番や」が考案し、三島商工会議所からブランド認定されている。社長の荻野啓子さん(67)と料理担当の夫豊さん(72)は、「対局者に地元の味を楽しんでもらい、その魅力が全国へ広まれば」と語った。
市が行ったコンテストでは、勝負めし、おやつ、ドリンクの3部門で計22,202票が投じられた。メニューには、選ばれた18品以外にも、おやつ18品(45品エントリー)、ドリンク9品(27品エントリー)が掲載される予定だ。市は10月15日から来年1月31日までの期間、掲載店を巡るデジタルスタンプラリーも企画している。
対局会場となる三嶋大社周辺では、「福太郎餅」と呼ばれる独特の草餅が勝負おやつ部門で選出された。1992年に誕生したこの名物は、毎年1月7日に行われる御田打神事に登場する福太郎の烏帽子を模しており、「リーゼント餅」としてSNSで人気を博している。茶店「福太郎本舗」の高嶋英樹さん(61)は、「邪気を払うとされるよもぎをつきこんだ草餅なので、対局者に食べていただきたいです」と話し、三島対局を楽しみに待っている。
今回の竜王戦は、将棋ファンだけでなく、地元愛に溢れる三島市全体が一丸となって迎えるイベント。多彩な「勝負めし」を通じて、対局者たちの胃袋と心を掴むことに成功するかどうか注目される。
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