天候不順が続く夏から秋へ移り変わるこの季節、多くの人々は読書に心を向けます。私も例外ではありませんでした。茶トラのメスハニーが本棚からテーブルへとジャンプし続ける様子を見ながら、名越健郎さん著の「ジョークで読み解く『ロシア近現代史』」(PHP新書)と、古川尚美さんの「猫でもわかるChatGPT」(もふ出版)を手に取りました。これら二冊はいずれも、著者が長年築き上げてきた人生経験と共に、現代社会のさまざまな側面を映し出しています。
名越さんは、ロシア政治に詳しい拓殖大学客員教授であり、かつて時事通信の特派員としてモスクワから東京、さらにはワシントンへと活動範囲を広げてきました。そんな彼が飼っていたピパという名前の猫は、ロシアの市場で購入されたシャム系の雑種です。この名前はバンコクで過ごした経験に由来しており、長距離移動を重ねてきた猫と同様に、名越さん自身も多くの国々を訪れています。一方、古川さんは保護団体「ちよだニャンとなる会」代表理事であり、IT分野でも成功した起業家です。彼女の「猫でもわかるChatGPT」では、AI技術を通じて人間関係や社会問題について考察しています。
名越さんの新著は、旧ソ連時代から現在まで続くロシアのジョーク「アネクドート」を通じて、庶民が権力に抱いた不満や批判を浮き彫りにします。これらの小話は、時代を超えてロシア社会を反映しており、「ジョークで読み解く『ロシア近現代史』」ではウクライナ戦争後の政治風刺も含まれています。名越さんは以前、プーチン大統領を取り上げた「独裁者プーチン」(文春新書)で日本の若者がロシアの指導者に憧れる可能性を警鐘しました。今回も、名越さんは読者と共に、ロシアのジョークサイトから面白いエピソードを紹介しています。
一方、古川さんの「猫でもわかるChatGPT」では、保護活動を行う彼女自身がAI技術とどのように向き合っているかが描かれています。本書はハチやミケなど四匹の猫たちが案内役を務め、ChatGPTとの対話から得られる洞察を紐解きます。特に注目すべきは、「人に言えない悩みを整理する」章で、AIが若者たちの恋愛相談を受ける理由を探ります。猫たちとのやり取りから得られる示唆は、自分の考えを客観的に見つめ直すきっかけとなります。
これら二冊の共通点は、表面的な知識以上に深い理解を提供することです。読む者が自分の思い込みや知識の空白に気づく機会を与えてくれます。また、古川さんの著書はもふ出版から刊行されており、その販売利益が保護猫の医療費やシェルター運営に充てられるという意義深い取り組みも注目すべき点です。
このような読書体験を通じて、私は再び自分の知識や価値観について考えさせられました。それはまるで、ハニーがジャンプするたびに新しい角度から物事を見直すようなものです。読書の秋に、こうした二冊に出会ったことで得られる学びは計り知れません。
さて、「猫学(ニャンコロジー)」というテーマを掘り下げるスピンオフ企画が近日中に開催されます。ゲスト講師は室井滋さんや村山由佳さんで、人と猫の共存方法について語り合います。会場はすでに満員ですが、オンラインでも参加可能なため、興味を持った方はぜひチェックしてください。
人間と猫の関係は古今東西を問わず、多くの文化や芸術に影響を与えてきました。現代社会ではペットの猫が増加し、家族同然に扱われるようになりましたが、一方で野生化した「ノネコ」問題も深刻化しています。このような背景を踏まえ、「猫学」では識者へのインタビューや科学的調査に基づき、人と猫が共存するためのヒントを探っていく予定です。
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