ファッション界では、常に時代を超えて愛されるアイコニックな存在であるチェック柄が、今秋冬のトレンドを牽引しています。その多様性と表現力は、異なるスタイルや文化における新たな可能性を示唆し、「チェックオンチェック」と呼ばれる複数のチェック柄が組み合わされる斬新な着こなしが人気を博しています。このトレンドは、柄のサイズや配色、素材感の違いによって、グラフィカルで洗練されたスタイルからストリート風のユニークなアプローチまで、幅広い表現を可能にしています。
パリの名門セリーヌは、このトレンドの中でも特に注目される存在となりました。通常の複数チェック柄を掛け合わせたスタイルではなく、シングルチェックである巨大なブラウン系のジャイアントチェックを用い、黒と白を効果的に使ったデザインを提案しました。この斬新さがファッション界に衝撃を与え、「今季の象徴」と評されるほどです。
一方、ドリス・ヴァン・ノッテンは中綿入りのボリューム感あるジャケットに大胆な赤茶色のチェックを施し、下半身には黒白のギンガムチェックで仕立てたテーラードとミニスカートにジョギングパンツを合わせることで、エレガントかつ遊び心あるコーディネートを展開しました。
ロンドンのストリートは常に新たなファッションの試みが行われており、パンクスピリットと伝統的タータンチェックを融合したデザインが特徴です。その筆頭には、破れたストッキングで知られるチャールズ・ジェフリー・ラバーボーイの作品があります。黒いトップスと多種類のタータンを不均衡に重ねたスカートは、ロンドンパンクならではの既成概念への反抗心を表現しています。
一方で、ディオールはクチュール的な優美さとチェック柄を融合しました。細かいガンクラブチェックに繊細なプリーツ加工を施し、長く揺れるスカーフがエレガントさを際立たせています。
スウェーデン発のアクネ・ストゥディオズは、抑制された美学でチェック柄を取り入れました。バイアスカットのブラウスと箱ひだの膝丈スカートが組み合わさったこのコーディネートは、見慣れたものに新しい価値を与えています。
チェック柄のバリエーションは広範囲に及びます。大きなものから小さな模様まで、見る人が見ればその多様性に驚かされることでしょう。この柄は歴史的背景を持ちつつ、現代でも進化を続けています。スコットランドでは「クランタータン」として知られ、氏族ごとの色柄が特徴です。日本においても江戸時代の弁慶格子は浮世絵でよく描かれました。
また、「鬼滅の刃」でも、主人公・炭治郎が市松模様を象徴とする羽織を身にまとう姿が印象的です。このようにチェック柄は時空や国境を超えて愛され、カジュアルでありながら感慨深い存在としてその地位を不動のものとしています。
ふじおか・あつこ氏(ファッションジャーナリスト)は、fプロジェクト代表として幅広く活躍し、新聞からモード誌まで多岐にわたるメディアで記事を執筆。名古屋学芸大学の客員教授も務め、定期的なファッショントレンドセミナーを開催しています。チェック柄が新たな時代を切り開く中で、その歴史と現代性の融合は私たちに新しい視点を与えてくれることでしょう。
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