愛知県名古屋で行われたアジア大会の第8日、26日に開催された陸上マラソン男子で、三菱重工所属の山下一貴選手が見事2時間10分49秒というタイムで優勝しました。これにより、日本勢は2大会ぶりに金メダルを獲得する快挙を成し遂げました。
「イチタカスマイル」と称される屈託のない笑顔が戻った山下選手。最後の200メートルで何度も周囲を確認すると、勝利の確信に満ちた表情を浮かべました。ゴールテープを切る際、久しぶりに満面の笑みを見せ、「心底ほっとしている」と語りました。不調期間から復活し、金メダルを手にしたことで、彼の中には爽快な感覚が漂っていたようです。
レース全体を通じて、帽子を深くかぶり目線も低めに保ちながら自身の走りに集中していました。夏の国際大会で見られるペースの上下動に対し、山下選手は淡々とした様子でついていきました。31キロを超えた段階で折り返し後の急な坂道で仕掛けるも離れ切れず、3番手に落ちてしまいます。「普通についていけなくて焦った。自分はラストスパート力がない」と後日振り返っており、それでも34キロを過ぎたところで再度仕掛け、順位を上げるべく1人ずつ抜き去りました。
山下選手にとって3回目のマラソン出場となった2023年東京マラソンでは、日本歴代3位(当時)である2時間5分51秒を記録し、同年夏季世界選手権のブダペスト大会へ出場。しかし、そのレースでは11位に終わりましたが、30キロ地点付近で一時は先頭に立ち、多くの印象を残しました。
しかしながら、それ以降は長い苦悩の日々が続きました。左太もも裏の張りが約1年間解消せず、満足に練習を積むことができませんでした。その原因は不明な部分も多くありました。
「当時は何とも思っていなかったつもりだったけど、後から振り返ると、その1年間は楽しくなかったんだなと感じています」と山下選手自身が語っています。
レース前には黒木純総監督から「次のオリンピックに向けたステップの一つだ」と背中を押されました。日本勢として2大会ぶりの頂点を極めた山下選手ですが、これは彼の復活への序章に過ぎないことを示唆しています。今後も目覚ましい成長が期待される中で、この金メダルがどれだけ重要な意味を持つかは明らかです。彼のこれからの活躍に注目が集まります。(石原颯)
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