シュールリアリズムが際立つ漫画「ねじ式」で広く認知された、伝説的な漫画家、つげ義春さんの未発表インタビューが新たに明らかになりました。彼は2023年3月に88歳で亡くなるまで、漫画業界においてその独特な作風と少ない公の露出で知られていました。今回発見されたインタビューでは、創作活動や哲学的思考、宗教観が詳細に語られており、この貴重な記録は「アックス」誌の追悼特集として2023年9月29日に掲載されます。
インタビューは2001年から2002年にかけてフランスの漫画研究者から、また2015年に韓国の出版社からの依頼で実施されました。つげさんが担当していた浅川満寛氏(61歳)が質問作成と聞き手を務め、これらのインタビューは出版社の経営難などにより刊行されることなく、録音テープや音声データとして保管されていました。浅川氏が明かすところによれば、これらのインタビューはつげさんの内面的思考を深く掘り下げるものです。
2001年から2002年のインタビューでは、漫画における絵や物語の描写について話し合われました。つげさんは「世間一般の価値観と自分が抱える不協和音を、漫画を通じて解放したい」という意図を明かしています。このインタビューでは哲学や宗教、人間の救済や霊魂といったテーマにも及び、「自分が解放されなければ他者を救うことはできない」とし、「今では魂の問題が理屈で少しずつ理解できるようになってきた」と語りました。
一方、2015年のインタビューでは、彼の少年時代に勤めていた工場の韓国人経営者との思い出が語られ、「何故か韓国の人々と縁があり、自分もお世話になった」と述べました。また、代表作「李さん一家」のラストシーンの着想についても触れられました。
浅川氏は、「このインタビューを通じて宗教観など、これまであまり知ることができなかった面が見えてくる」と語っています。つげ義春さんの生涯にわたる創作活動は単なる漫画表現を超え、深い哲学的および宗教的思索が背景にあったことが、このインタビューを通じて明らかになりました。今回の発見はつげさんの多面的な人物像を再評価する機会を提供しており、彼の作品群が持つ意味や影響に新たな光を当てるものと期待されます。
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