多彩な才能で知られるピアニスト・作曲家、加藤昌則が音楽活動30周年を記念し、「加藤昌則の30周年フェス」と銘打った特別なコンサートシリーズを開催します。このイベントは、自身の作品による演奏会であり、これまで共演してきた多くの演奏家が出演する予定です。「私も彼らと一緒に育てられました。30年間の財産は彼ら演奏家なのかな、と思います」と加藤は語ります。
加藤昌則(53)は作曲や編曲に加えて自身でピアノを弾くことでも評価されており、クラシック音楽の魅力を分かりやすいトークで聴衆に伝えることも得意です。30周年フェスでは自作の曲が全て演奏され、これまでの共演者たちが加藤の音楽的旅路を彩ってきたことへの感謝と尊敬を示しています。
加藤のスケジュールを見ると、さまざまなジャンルの演奏家との共演が続いており、その豊富な活動実績が伺えます。例えば、5月16日には第一生命ホールで村治佳織のギターリサイタルに出演し、加藤が編曲したロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を披露。7月26日には徳島・阿南市文化会館で成田達輝と笹沼樹がバイオリンとチェロの伴奏に加わり、サラサーテやポッパーの作品を演奏。また、来年1月24日には浜離宮朝日ホールでカウンターテナーやバリトン、ソプラノと共に自作曲を歌う予定です。
加藤の音楽活動は1996年9月4日、東京芸術大学大学院在学中に始まった自作自演の演奏会からスタートしました。当時、ヨーロッパへの留学を決めていた彼は、故郷の音楽的背景とは無縁で育ちましたが、「五線紙だけ持って行くなら、誰が分かる?自分で弾かないと」という先生の言葉に従い、演奏会を開催しました。この経験から彼は音楽表現の幅を広げ、ミュージカルやシェークスピア劇など様々なジャンルに触れることで自分の音楽的アイデンティティを確立しました。
音楽一家ではなかった加藤は、小学校2年生から遅く始めたピアノも当初は好きな女の子と仲良くなる手段でした。「自分から親にピアノを習いたいと言った。音符が書けるようになって面白く感じました」と彼は振り返ります。その後、音楽への興味が深まる中で、作品の魅力にどんどんと夢中になったことを語っています。
加藤は東京王子ホールの「銀座ぶらっとコンサートCaféギンザ」や横浜市栄区民文化センターリリスの「リリス藝術大学クラシック学部」、長野市芸術館の「加藤昌則のぶっとび!クラシック」などでレクチャー・コンサートを行い、その企画力やプロデュース能力が高く評価されています。彼は軽妙なトークでクラシック音楽の魅力を伝える一方で、ときに作曲家に扮してパフォーマンスをすることもあります。
「30周年フェス」は2部構成で行われ、「フェス1」が9月25日にハクジュホールで開催されました。バイオリン、チェロ、ピアノカルテットなどの組み合わせで加藤の作品が披露され、「フェスⅡ」は10月23日に同じくハクジュホールで行われます。出演者には成田達輝、笹沼樹、安達真理(ヴィオラ)、福田進一(ギター)、村治奏一(ギター)、石上真由子(バイオリン)、福川伸陽(ホルン)らが名を連ねています。
加藤は演奏家に作品を「あてがく」ことで、共演者の持つ才能や技術を音楽に活かす方法を模索してきました。作曲家が自らの作品を弾く形式は通常、「個展」と呼ばれますが、加藤はこれを「祭典」に例えています。「私は表に立つ人間とは思っていませんでした。裏方の作曲家が演奏者たちの新しい側面を引き出すこともあります」と彼は自身の位置づけを語り、多くの音楽愛好家に感動を提供しています。
加藤昌則が築いてきた30年の足跡を振り返ると、それは彼自身だけでなく共演者や聴衆すべてに影響を与え続ける音楽的冒険の旅路です。これからも新しい作品を生み出しながら、彼の音楽は多くの人々の心に残り続けることでしょう。
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