2023年9月17日に発足した第2次高市早苗改造内閣は、自民党役員人事を含め、首相の政治手法と性格が如実に表れたものだった。これまで「地味で手堅く刷新感がない」と評されることが多かった自民党内閣改造は、高市首相の下でもそのスタイルを踏襲し、国会対応の悪化や「高市一強」体制のもろさが浮き彫りになった。今回の人事で注目すべきは、首相から見れば良くなるとされる国会対応力の低下や、権力構造の内実がむしろ脆弱になった点だ。
歴史的にみても、自民党結成以来、政治家主導で行われる内閣改造は、政権支持率の一時的な上昇を目指すことが多かった。しかし、1981年の鈴木善幸改造内閣から2022年の岸田文雄再改造内閣までの30回にわたる改造の中で、「成功」と言える例は小渕恵三(1999)、小泉純一郎(2003)、安倍晋三(2015、2017)の4例に留まり、多くが効果なしや支持率低下という結果に終わった。高市政権の改造も、党内事情と日本維新の会との関係強化以外に大きな理由は見られず、「入閣待望組」を処遇して不満を散らすことが最大の目的だった。
今回の人事では、高市首相が「自分に刃向かい、裏切った」と受け止める議員が冷遇されたり、派閥単位での要望がなくアンケートを基に決定されたことからも、首相の性格が浮かび上がった。一方で、片山さつき財務相や城内実成長戦略相らを続投させ、経済政策に大幅な変更は行われなかったことから、「政策変更は行わない」というメッセージが示された。市場関係者からの心配もある中で、財務官僚出身の片山氏を留任させ、経済政策に対する「間違ったメッセージ」を市場に与えないことが狙われた。
また、日本維新の会から中司宏氏が入閣したことで、維新の政策がより反映される可能性もある一方で、「政権のアクセル」の役割が変質するリスクも指摘されている。高市首相は、茂木敏充外相や小泉進次郎防衛相を留任させ、政策継続性と27年の総裁選に向けた「封じ込め」を図った。林芳正前総務大臣は閣外に去り、「反中」路線に不安を抱く党内保守派としての役割が期待されている。
今回の自民党役員人事で目立つのは、国会対策委員長に村井英樹氏を起用し、「高市カラー」が出たことだ。官邸の意向に沿った国会運営を目指す中で、石井準一幹事長の交代も首相の不満が反映されている。高市政権は、消費税減税や議員定数削減などを目指す臨時国会での成果が問われるが、官邸と自民党間の連携不足が影響する可能性もある。今後の内閣支持率や世論動向によっては、首相への評価も変わり得る。
高市政権の「一強」体制は短期的には安定しているが、人事後の求心力低下や自民党議員の不満増加というリスクも内在している。これらの要因から、政権の脆弱性がむしろ高まっていると見ることもできる。高市首相は「決断と挑戦、実行の内閣」と名付けたが、その実体は政権の命取りになり得る課題への対応力を試されることになるだろう。
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