今夏、名古屋市をはじめとする愛知県内で開催されるアジア大会に向け、訪日外国人観光客の増加が期待されています。この機会に、地元ホテルや観光施設は「おもてなし」精神を駆使して、東京や大阪といった人気の旅行先に代わる新たな目的地として愛知県をアピールする動きが活発化しています。成田沙季氏の報告によれば、ホテルや観光関連施設は印象深い旅行体験を提供し、リピーターとして囲い込む戦略に力を入れています。
名古屋マリオットアソシアホテルでは、大会開幕前の今月初めから宿泊者が増加し始め、フロント近くに「コンシェルジュデスク」を新設。館内のクラブラウンジやフィットネスジム担当の従業員6名がチームとして活動を開始しました。このデスクでは、宿泊客一人ひとりの旅行目的や好みに合わせた「一歩先」の提案を行い、これまで以上にパーソナライズされたサービスを目指しています。特に混雑時における対応が課題となっていましたが、人間的な接触を重視した温かみのある対応でホテルを選んでもらうことが狙いです。チーフコンシェルジュの根笹知子さんは「お客様の表情や雰囲気を観察し、最適な解決策を提供できるよう努めています」と述べています。
名鉄ホテルホールディングスグループでは、外国人宿泊客に日本の「和」文化に触れる機会を提供しており、各施設で独自の取り組みが行われています。名鉄トヨタホテルでは、同市の伝統工芸「小原和紙」をびょうぶ風に飾るなど文化的要素を取り入れ、フロント近くには気軽に楽しめるけん玉やこまを置いています。また、ホテルミュースタイル犬山エクスペリエンスでは、書道経験者の従業員が「ご縁 connection」「感動 impression」などを題材にした作品を展示し、鶴の折り方や折り紙も提供しています。
さらに、名鉄ホテルグループではチェックアウト時に「御宿場印」という記念品をプレゼントし、お客様の記憶に残るサービスを提供しています。執行役員営業戦略本部長の島原東氏は、「この地域を再訪したいと思ってもらえたら」と期待を込めています。
一方、名古屋観光ホテルでは、ご当地グルメが集まる「名古屋めし食堂丸八 伏見別邸」を新たに設置。みそかつの「矢場とん」や台湾ラーメンの「味仙」、手羽先の「世界の山ちゃん」、ひつまぶしの「備長」など名古屋の人気料理を楽しめるカジュアルなスペースが新設されました。これは同ホテルの高級路線と一線を画し、地元グルメに親しみやすい斬新な試みです。
しかし、愛知県は依然として東京や大阪と比較すると訪日外国人の宿泊数で苦戦を強いられています。観光庁による2026年上半期(1~6月)のデータでは、東京都が2704万人、大阪府が1115万人の宿泊者数を記録した一方で、愛知県は198万人にとどまりました。この状況を打開するため、県内では観光施設の魅力向上や旅行業界と連携した取り組みが進められています。昨年9月にはツーリズムEXPOジャパンを県内で開催し、観光客数の増加を図ったものの、2026年上半期の訪日客の宿泊者数は前年同期比20.7%減少という結果に終わりました。全国平均(8.7%減)よりも大きな割合での減少となっており、予想外の落ち込みが続いています。
9月から10月にかけて開催されるアジア・アジアパラ競技大会は特需を生むことが期待されますが、年間を通じた観光客数の増加については未だ慎重な見方を余儀なくされています。愛知県は今回の大会を契機として、外国人旅行者に新しい魅力を発信することで、地域経済の活性化を目指しています。
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