愛知県名古屋市で開催されたアジア競技大会において、日本選手団最年少の11歳、栗原悠輝がパズルゲーム「ぷよぷよeスポーツ」における金メダリストとなった。東京ヴェルディ所属で、プレー名はゆうき。彼の圧倒的な強さを支える要因として最も挙げられるのが、その卓越した「対応力」だった。
決勝戦において、栗原は韓国の実力者であるカン・ドンシンと対峙。この試合では、序盤の第一局をカン選手に奪われるという珍しい展開が見られた。「1本目は正直、負けてもいいくらいの感じだったので、大連鎖を打ちたいなと思って、狙いにいきました」と栗原自身が振り返る。彼の得意技である「大連鎖」は、画面上に積み上げられた「ぷよ」を何回もつなげて消すことで、対戦相手の画面に邪魔なぷよが現れる技だ。しかし、この局ではカン選手の細かい連鎖攻撃を受けてしまい、「大連鎖をつぶされて『大連鎖でいかない方がいいのかな』という不安があった」と栗原は振り返る。それでも、彼はすぐに戦術を修正し、結果的に10-2と圧勝した。
栗原のプレースタイルに共通していたのが、「勝ちにこだわる姿勢」と「対応力」であった。ぷよぷよは、自分の連鎖で相手を邪魔するゲームであり、大きな連鎖を積み重ねれば相手に送る「お邪魔ぷよ」が増える。しかし、同時に自分のフィールドに落ちてくる「お邪魔ぷよ」を自身の連鎖で相殺し、反撃することも可能だ。
この日の栗原は、持ち味である大連鎖を武器にしつつ、いつでも相手の攻撃を相殺できるよう自分のぷよを管理していた。特に準々決勝でシンガポール選手と戦った際には、その対応力が顕著だった。栗原が5連鎖を仕掛けると、シンガポール選手が4連鎖で相殺するものの、栗原はさらに先読みして8連鎖を仕掛けて勝利を収めた。
彼は決まれば気持ち良い大連鎖にこだわるのではなく、相手が何をしようとしているのかをぷよの積み方から把握しつつ、常に対応することで勝利を掴んだ。決勝戦で唯一「大連鎖」にこだわったのは第一局のみ。栗原自身がカン選手を「自分が当たりたい、一番強い人」と評し、「そこに勝てたら本当にうれしいんだろうな」と語るように、決勝での相手としてはまさにふさわしい。敗れたカン選手も「栗原は同時に連鎖を打つことで対応する時間を与えてくれなかった」と彼の戦法を完全に見切っていたことを認め、11歳の天才への敬意を表した。
とはいえ、栗原が11歳であることも事実だ。決勝戦直前には大きなあくびをしている姿が映し出され、会場を笑わせた。優勝後のインタビューでも「正直、めちゃくちゃうれしかったです。でも、恥ずかしかったから、表情を変えませんでした」とはにかみながら語り、少年らしい素朴さも見せている。
「日本人選手の最年少金メダリスト」である栗原悠輝は、その未熟さと勝負に対する献身的な姿勢を示し、アジア大会に記憶に残る足跡を刻んだ。
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