東京都千代田区神田淡路町に位置する「ワテラス スチューデントハウス」は、都心部としては破格の家賃6万5000円(管理費別)で学生たちが住むことを可能にした物件です。この地区では不動産価格が高騰する中、なぜこうして安価に提供されているのかという疑問が浮上します。その理由は、再開発当時、地元住民から「学生を迎えて街全体を活性化させたい」との要望に不動産会社が応えたことにあります。入居する学生は協調性や人物重視で選ばれ、地域イベントへの参加やボランティア活動を通じて「神田っ子」として地域に貢献することが求められます。
この物件は14階と15階に位置し、高層ビル街の眺望を楽しみながら勉強や交流ができるラウンジが設けられています。広島県出身の東京科学大学院生・札場巴菜さん(24)は、家賃10万円を超えた旧居からの引っ越しを機に、友人と共に活気ある環境で暮らせることに喜びを感じています。一方、宮城県出身の東京大学院生・山田隼大さん(24)は、神田祭など地域活動が就職活動での自信と経験に繋がったと述べています。
ワテラス スチューデントハウスの入居対象は18歳から25歳までの大学生や専門学校生です。高校3年生でも翌春に進学することを証明できれば応募可能で、来年度入居予定では15名が募集されています。倍率は約2倍を見込んでおり、面接やグループディスカッションにおいて人間性やコミュニケーション力が評価の対象となります。
安田不動産まちづくり事業本部の太田千智さん(26)によると、選考では積極性や初対面でも話せる能力が重視されているとのこと。同社は地域活動組織「淡路エリアマネジメント」の事務局も兼ね、若手社員が学生をサポートしています。
物件自体は一般的なワンルームタイプでバス・トイレ・台所付きの約20平方メートル。1年ごとに更新される契約ですが、地域貢献度によっては最長4年間の滞在が可能です。家賃は開業13年前から据え置きであり、幅広い層への応募を歓迎しています。
日本女子大学生・小野響子さん(22)は部屋案内中に友人から羨ましがられることもあると語ります。この物件の知名度は高く、彼女の母親がテレビで紹介されていたことをきっかけに姉妹が東京へ進学する運びとなりました。
淡路町2丁目地区は25年前、再開発準備組合が誕生し、小学校の閉校や少子高齢化を背景に地権者から「学生を迎えたい」という声が上がりました。平成25年に完成した複合施設ワテラスは、その要望に応える形で誕生しました。
淡路町2丁目町会副会長の佐藤広志さん(65)は、「最初は学生との間に違和感があったが、共同作業を通じて一気に距離が縮まり、上級生から下級生へと大切な価値観が受け継がれる」と語っています。学生たちの社会性や人間力は、このような地域貢献を通じて育まれていることが明らかです。
現代ではSNSに頼った人間関係が一般的になっていますが、ワテラス スチューデントハウスの活動を通じて生身で交流することの意義は計り知れません。地域社会と共存し、新たな価値観を育むこの取り組みに注目が集まっています。(重松明子)
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