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「嵐を呼ぶ女」から始まる新真打ち春風亭一花の軌跡

「嵐を呼ぶ女」から始まる新真打ち春風亭一花の軌跡

台風25号が関東地方に迫った9月21日の夜、東京・上野の鈴本演芸場で、春風亭一朝師匠を持つ若手落語家、春風亭一花が真打ちに昇進する興行が華々しく幕を開けた。単独での真打ちは2012年兄弟子・春風亭一之輔以来となる快挙で、演芸ファンには既知の事実だった。この日を含む45日間にわたり新真打ちとして寄席のトリを勤める彼女のスタートは、観客や演者に忘れがたい記憶を残した。

「大初日だからお客様を呼べと言ったら、台風まで連れてきちゃうなんて! 本当に嵐を呼ぶ女です」と師匠の春風亭一朝が口上挨拶で語る。この場面では観客たちからの大歓声と長靴姿が印象的だった。

一花はもともと、筋が良く評価されていた若手落語家で、NHK新人落語大賞に3年連続ファイナリストとして名を馳せてきた。彼女は「これが十八番」という売り物を今後練り上げる段階だが、既に落語界では優等生的な存在と見られている。女性落語家でありながら華のあるタイプではなく、彼女の人気はどんどん高まっており、「演芸好き全員に愛される」という言葉も過言ではない。

今回、新真打ち誕生までの1か月を追うことにしよう。9月7日深川江戸資料館小劇場では、「つる子・一花二人会」が開催された。林家つる子は一花の前座時代からの修業仲間で、共に「おきゃんでぃーず」というユニットを組み、昔々のアイドル風ミニコンサートも行っている。この舞台ではつる子が一花の真打ち抜擢に涙し、「プレッシャーを感じてないように平然としている」ことに驚き、二人は大笑いした。

一花の舞台では「黄金の大黒」や、予行演習的に披露された「子は鎹」というネタが披露され、その中での普通の10歳の少年として描かれる亀吉は、大人をへこませない等身大のキャラクターだった。舞台から感情あらわに泣き叫ぶシーンは観客に深く伝わり、その真摯さが称賛された。

9月11日、二ツ目の修業場である神田連雀亭では「講談きゃたぴら」という勉強会に参加。一花と仲良しで同時期に真打ち昇進する田辺いちかが出演し、「赤穂義士外伝・忠僕直助」を披露した。「同志・一花」とのエピソード満載のまくらで、二人は来年の二人会に向けて企画を練っていると発表し、興奮冷めやらぬ中で口上書を作成していた。

9月15日、よみうり大手町ホールでは「TBS落語研究会」が開かれ、一花はお囃子の笛担当としてスタンバイ。この日が彼女にとって最後の笛吹き納めだった。楽屋では一門の面々や弟弟子らから花束を贈られ、記念撮影も行われた。

そして9月21日、台風が続く中でも観客に迷惑をかけず初日を開催するための工夫がなされた。昼の部は中止し、夜の部開場時間を大幅に早め、物販や楽屋でのサポートも行われた。観客は「不要不急」の外出をしてくるほど一花を応援した。

開演直前、ベテラン色物の曲独楽三増紋之助が高々と拳を振り上げ、一花を祝福。その後に登場した各出演者たちも一花を応援し、興行を盛り上げた。口上では協会幹部が次々と熱い言葉を贈る中、「粗忽の釘」という彼女の師匠愛、一門愛を感じさせる噺が披露された。物販で手に入れた手拭いを活用するなどのアイディアも見られ、場内は大きく沸いた。

一花落語の醍醐味は「女性を感じさせない」ところにある。彼女は地味な努力と自然体で演じる姿勢が評価され、多くのファンから愛されている。「一花落語は人柄」だからこそ、今後もその輝きを放ち続けることだろう。興行閉幕後、雨が上がり観客たちはスキップのような足取りで外に出た。一花は新宿末広亭や浅草演芸ホールでも披露目興行を続け、次々とファンを魅了していく。

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